というわけで、結婚してください!

 海を見つめながら、尊は言ってくる。

「だから、娘を受け取る男はそれだけの覚悟が必要だってことだ。
 ……まあ、征にはあったんだろうな。

 しつこく追ってるようだから。
 腹を立てているだけかもしれんが……」
と言いながら、尊は上の道を見た。

 防波堤の切れ目のところに、そういえば、見たことのある今風のイケメン顔の男が立ってこちらを見ていた。

 確か……武田数志とか言ったっけ、と逃げるでもなく、ぼんやり思いながら、鈴は彼に向かい、ぺこりと頭を下げた。

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