というわけで、結婚してください!

 


「まあ、食え」

 浜辺に下りてきた数志に尊がクロワッサンを差し出した。

「これも美味しいですよ」
と鈴もフルーツを差し出す。

「いやいや。
 歓待されても、連れて帰りますよ、鈴様」
と容赦なく数志は言ってくる。

 いや、いつの間にやら、レジャーシートに座り、クロワッサンも、しっかりその手につかんではいるのだが――。

「なかなか鈴様が見つからないから。
 食事が出ても、いつ征様の雷が落ちるかと気が気じゃなくて、食べた心地しなかったんですよね~」
と言いながら、数志はくつろぐ。

 そんな数志を窺うように見ながら、
「連れて帰るのは鈴だけでいいのか?」
と尊は訊いていた。

 自分を吊るし上げなくていいのかと思っているようだ。

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