絶対俺の嫁にするから～御曹司のイジワルな溺愛包囲網～

あてもなく歩を進み続け、息は上がり次第にスピードは落ちていく。
気づけば駅前通りにまで来ていた。

たくさんの人が行き交う歩道で足を止め、端に寄って乱れた呼吸を整える。

道行く人は不思議そうに見ていくけれど、涙はなかなか止まってくれない。

ハンカチを探してバッグの中を見ると、そこには両親に渡そうと思っていたプレゼントが入っていた。
一生懸命選んだんだけどな、渡せなかった。

ハンカチで涙を拭い、やっと涙も止まってきた。すると少しずつ冷静になっていく。

本当に私、なにやっているんだろう。今だけは逃げられても、いつまでも逃げてばかりはいられない。
しっかり向き合わなくてはいけない時が必ずくるのに……。

ハンカチをバッグにしまう時、再び目に入る両親へのプレゼント。

素直な自分になれたら、自分に自信がついて上杉さんへの気持ちもたしかなものになると思っていた。
でもそんなことをしなくても、彼への気持ちはもう完全なものになっている。

磯部さんと一緒にいるところを見て、嫌な気持ちになった。二人で食事なんてしてほしくなかった。