イケメンエリート、はじめての純愛⁇
映司はこの困難に肩をがっくりと落とした。
咲子を抱く手が力なく腰の方へ下がる。
咲子にとっての常識は、世間では非常識の事が多い。
だって、結婚の申し込みを兼ねた大切な会合に後輩の明智君を同席させるなんて、そんなギャグみたいな話、今まで聞いた事がない。
でも、咲子の嬉しそうな笑顔を見ると、映司はその恐ろしい提案さえも受け入れてしまう。
こうなったら、明智君に石像になってもらうしかない。
いや、それか、見たもの聞いたもの全てをその日に忘れてもらう記憶喪失になってもらうとか…
映司は、そんなバカみたいな事を真剣に考える自分に大きくため息をつく。
「映司さん、大丈夫ですって!
心配しないでいいですよ。
祖父も母もいい人ですので」
このお人好しな咲子の可愛らしい顔を見て、映司はまた大きく息を吐いた。
咲子のためなら、ピエロにでも何でもなってやろうじゃないか。
いや、でも、やめた。
やっぱりその役は明智君にやってもらおう。
だって、明智君は、EOCきっての何でもできるスーパーマンだから…