好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「どうもはじめまして、こいつの悪友の慧です。今日は、腕を振るってご馳走を作るからなんでも頼んでね。支払いはこいつだし、遠慮なんかしたらダメだよ」
「…はい。お願いします。私『こいつに自己紹介なんてしなくていいから』」
「アーァ、心が狭いね」
と、口をへの字に曲げて、よく外人がする仕草で手をあげていた。
「お前、うるさいよ。それ以上余計なこと言うなよな」
普段の落ち着いた彼しか知らない私としては、新たな面を知れて頬が緩んでいた。
「お前ん家、複雑だったから心配してたんだぞ。でも可愛い彼女ができてよかったな」
初めてチッと舌打ちする神崎さんを見た。
「いい加減にしろよ」
残念ながら
「私、彼女じゃないんです」
はぇーと聞こえるような慧さんの驚き声。
「いや、ごめん。ここに連れて来たから特別な子だと…」
『だから言ったのに』と苦々しく呟いた神崎さん。
「気にしてませんから…」
めっちゃ気にしてますけど…ダブルパンチ食らった気分ですよ。
「まぁ、そのゆっくりしてって」
そう言って逃げていった慧さんが、腕をふるってくれた美味しい料理を堪能して、お詫びにデザートまで頂いて、お腹いっぱい。
「満足したか?」
「はい、ご馳走さまでした」
「なら、よかった」
頬杖をしたまま、いつもの爽やかな笑顔の彼に胸もいっぱいです。