好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「【フォルテシモ】って店」
「確か、北側の丘の上にある有名なレストランですよね」
そんなところへ一人で食事しに行くつもりだったのか…さすが、経営者なだけある。
「リーズナブルって聞いていても、敷居が高くてなかなか行けなかったから嬉しいです」
「満席かもな」
神崎さんと一緒ならどこでもいいのに…重いと思われそうで口を閉ざした。
そしてお店につくと、少し年配の男性がやってきた。
きっと、若い時もかっこよかったであろうダンディなおじさま。
「神崎ってお前だったのか⁈」
「えぇ、まぁ。仁さん、お久しぶりです」
「ふーんデートか。席はわかるだろ?勝手に座ってろ」
「雑じゃないですか?」
「慧の悪友には、これくらいが丁度だよ」
神崎さんについて行くと、このテーブルだけにreserveという札と小さな花瓶にお花が置かれていた。
「邪魔だな」と札を倒した彼の爽やかな顔が、ほんのりと頬を染めている瞬間を見てしまった。
きっと予約していた事を隠したかったのだ。
すぐに来たコック服姿のこちらの男性もイケメン。
さっきのおじさまと似ている。
「透、お前だと思ったよ」
「余計なことするなよ」
「正解だったろ」
ニカっと笑った男性と目が合った。