好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
「いーえ。たまには女子会も必要でしょう。また、声かけてよ」
「ありがとうございます」
詩織さんがお礼を言ってるが、私は名刺にギョッとしていた。
棚部 宏人…元彼だ。
あんな仕打ちをして今更なんのようなのだ?
見なかったことにして、ぐしゃりと握り潰しゴミ箱へ捨てた。
「誰だったの?」
「噂のろくでもない奴です」
はぁっ…
いつも笑顔を絶やさない詩織さんが、徐々に怒りで目つきが怖くなる。
「今更なんのようよ」
「ですよね」
「また会いにきたら、私が対応するから、愛梨は一言も話しちゃダメよ。目もあわせない。いいわね」
「はい」
詩織さんの強い目力に威圧されて、頷くしかなかった。
今日は、[lodge]に行く日で、楽しみにしていたのに、元彼のせいで、思い出したくもない事まで思い出して、気分は憂鬱になる。
あー、早く透さんに癒されたい。
そんな気持ちで、残りの時間を過ごした。
「お先に失礼します」
「お疲れ様」
『デートでリフレッシュしておいで』
詩織さんが帰り際に、小声で励ましてくれたおかげで、残りのラストまで気分を上げて仕事をすることができた。