好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜

その後、軽い足取りでお店に向かう際、ショートメールで向かうと伝えた。

いつも店の外から[lodge]のカウンター内に透さんの姿が見えるはずだった。

でも、今日は代わりに陸くんが立っている。

なんだか嫌な予感を感じながら、お店の中に入って行くと、お客さんは誰もいなくて、あからさまに陸くんが顔をしかめた。

「こんばんは」

「いらっしゃい」

「…透さんは?お仕事中?」

「…来たって伝えておくからさ、会わないで帰った方があんたの為だよ」

毒舌な陸くんが、彼なりに気をつかってくれているらしい。

奥の事務所で透さんとセフレの誰かがいたしてるのか…

今日、行くって伝えてあったのにな…

泣きそうになる涙をこらえてたら、カウンターから陸くんが出てきて、私を抱きしめてきた。

「あんな奴の為に泣くなよ」

「うっ、うん」

陸くんの優しい声に、我慢できず涙が溢れ出した。

でも、私を抱きしめて欲しい胸は彼じゃない。

「ごめん、離して」

「なんでだよ。俺、あんたのこと『陸、離せ』」

透さんの凄みのある声に、お互いビクッとなり恐る恐る声のする方を見たら、彼は不機嫌顔で、綺麗な女の人が腕に寄りかかることを許してる。
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