好きって言わせたい〜恋に臆病な彼が本気になったら、溺愛がとまりません〜
全てが思うままに、愛梨との仲は順調に進んでいったはずだった。
それが、前々から客として来ていた女が、突然、俺の婚約者だと名乗りだした。
相手にしなければいいと、安易な考えが裏目に出て、上条 真理恵が愛梨に向かって暴言を吐いたのだ。
『…そんな安い愛の幻にすがりついても、いつかは捨てられるのよ』
俺の愛を安いだと…軽く言ってくれる。
他にもあの女が、言い残して言った言葉は、とても許せるものじゃない。
愛梨が愛人だと…まさかの本気の女だ。
宏人を返してやるだと…誰だか知らないが、俺以外の男が近寄るなら排除してやる。
愛梨を傷つけられて、俺の預かり知らないところで、話を進められていることへの怒りで、この時は、冷静な判断ができていなかった。
まさか、愛梨が別れを決意していたなんて知らずに、俺は、会いたくもない男に連絡をする。
俺の愛梨への愛が、どれだけ本気か教えてやろうじゃないか…
あの女に、愛梨を傷つけた罪を償ってもらおう。
「もしもし、俺だけど」
俺からの電話に電話の向こうの男は、声を聞くのも数年ぶりだというのに驚きもしない。
「上条の娘と俺の婚姻を打ち壊すには、何を差し出せばいい?」
『お前に、何ができる?大人しく俺の駒でいればいい』