嫉妬深いから

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本日2回目のフリーズは、彼に肩を揺すられるまで続いた。

「ナナ、…七海っ。おい、大丈夫か?」

あまりに私が動かないせいで、彼はちょっと心配そうに私の顔を覗き込んだ。

目の前に、端正な顔。

「うわっ!」

私は思わず仰け反った。
反射的に距離をとる。

…それは、つまり、その、そういうこと…?
じわじわと、顔に熱が集まる。
彼の顔を見ていられなくて、ふっと目を逸らす。

「─やっと男として意識したな。」

満足そうな彼。
思いもしてなかった展開に、私はタジタジだ。

「だっ…て、そんなんじゃなかったよね、私たち。」

「まあ、そう思わせるよう努力したし?
完璧だな、俺。」

しれっと答える彼に、イラッとする。
表情に出ているだろうに、彼は嬉しそうに言った。

「お前の問題点は把握した。
俺にとっては、何の問題もない。
俺のことが嫌いじゃないなら、付き合ってよ。」





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