恋愛零度。



「幼馴染がいたの。ずっと一緒にいた幼馴染」

ずっと、一緒にいられると思っていた。

本田奏多ーー

それが、その男の子の名前だった。

私が小学1年生で、お姉ちゃんと奏多は3年生だった。

仲良くなったきっかけは、マロンだった。

お姉ちゃんと公園で遊んでいたときのこと。

突然聞こえてきたのは、

『うぎゃあーっ!』

子どもの悲鳴と、

『その馬鹿犬を止めてえ!』

その子の母親の叫び声と、

『キャンキャンキャンキャンキャン!』

悲鳴にも似た犬の甲高い鳴き声。

何事かと思って見ると、幼稚園児くらいの小さな子どもが、犬に追いかけられていた。

小型犬なのに、すごい声の大きさだった。
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