恋愛零度。
*
「幼馴染がいたの。ずっと一緒にいた幼馴染」
ずっと、一緒にいられると思っていた。
本田奏多ーー
それが、その男の子の名前だった。
私が小学1年生で、お姉ちゃんと奏多は3年生だった。
仲良くなったきっかけは、マロンだった。
お姉ちゃんと公園で遊んでいたときのこと。
突然聞こえてきたのは、
『うぎゃあーっ!』
子どもの悲鳴と、
『その馬鹿犬を止めてえ!』
その子の母親の叫び声と、
『キャンキャンキャンキャンキャン!』
悲鳴にも似た犬の甲高い鳴き声。
何事かと思って見ると、幼稚園児くらいの小さな子どもが、犬に追いかけられていた。
小型犬なのに、すごい声の大きさだった。