恋愛零度。
『ま、待てマロン!』
追いかけてようとする飼い主らしい男の子。
捕まえようとするけれど、あっけなくかわされてしまう。
そのとき、オロオロする私の横にいたお姉ちゃんが、いきなり消えた。
『あ、あれ?お姉ちゃん!?』
お姉ちゃんがいきなり走り出した。そして、ほとんど突っ込むようにその犬にタックルをかまし、見事捉えた。
『キャンキャンキャンキャン!』
『こらっ、暴れるなあー!』
抱き抱えるようにして、お姉ちゃんが必死に暴れ犬を押さえ込む。
『マロン、大丈夫だ、おちつけ』
飼い主の男の子が息を切らしながら駆け寄ってきた。
その小型犬は、男の子を見るなり、その声で電池が切れたみたいに、暴れるのをやめた。