恋愛零度。
*
ねえ、奏多。
いま、どこにいるの。
なにも言わないまま、どこに消えてしまったの。
もし近くにいるなら、教えてよ……。
涙があふれて、止まらなかった。
本当はあの日、奏多がいなくなるんじゃないかって、どこかで予感がしていたんだ。
『卒業記念だよ』
なんで急にカメラなんて持ってきたのか。
『ひとりでも大丈夫なように、強くなれ』
あの言葉は、不器用な奏多の、精一杯の別れの言葉だったんじゃないかって。
あのとき、訊けばよかった。
どうしてそんなこと言うの、奏多はどこに行くつもりなのって。
訊きたいことが、たくさんあったのに。
理由もわからないまま2度と会えなくなるくらいなら、私は、なんだって言えたのに……。