恋愛零度。
今日はいちだんと寒いと思っていたら、雲で覆われた白い空から、ちらちらと細かな雪が舞い落ちてきた。
桐生くんは前を向いたまま、ぽつぽつと小さな舟を川に流すように言葉を紡ぐ。
「わからなくなったんだ。俺が、真白のそばにいていいのかって。真白が本当に一緒にいたかったのは、あいつのはずなのにって……」
「……桐生くん」
君に会ったら、言いたいことがたくさんあった。
だけど、その前にーー、
「奏多のこと、教えてくれる?この前、逃げちゃったけど、今度はちゃんと訊くから」
私が知らなかった、この3年間のこと。
なにがあったのか、どんな話をしたのか。
奏多は桐生くんに、なにをお願いしたのか。
私はきっと、それを知らなければ、前に進めない。
桐生くんは、一瞬驚いたような顔をして、うん、と頷いた。
「そうだな……もう、言っちゃってもいいよなーー奏多」