【短】回覧板~小さな繋がり~

祐君の腕があたしの後頭部と背中をしっかり押さえている。

これって、抱きしめられてる…?


なんで?

「なぁ、美鈴。何、どさくさに紛れてコクってんの?」

「…………」


何も言えなかった。

顔が見れないから祐君がどう思ってるのか分からない。


だけど声が怒ってるわけでもないし、

困ってるわけでも、呆れてるわけでもなくて。

嬉しそう。


「なぁ?俺が言おうと思ってたセリフ、とんなよ。」

「…へ?」

「『好き』って、先に言いたかった。」


「……ぇ…?」

かすれた声しか出ない。

「多分、美鈴が久しぶりに回覧板もって来たときから、好きになってた。」


あたしも…あたしもだよって言いたいけど、ドキドキしすぎて喋れない。

「いや、もしかしてガキのころからかも。
 さっきのは彼女じゃねーし、さっきコクられて、断ってたとこだったから。」

「うそ!?」


やっとまともな声が出た。

「ホント。
 美鈴が泣いてんの理由にしてコクりに来た。」


ナニソレ。なにそれ、なにそれー!?

「っ祐君の、ばかぁー!ばかばか、ばかーっ!!」

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