オトナの事情。
『ねえ、ユキ君さ、わざとそういうこと言ってんの?…あーもう~!折角泣き止んだのに~』
「あー、ごめん!ごめんって!サインするから!!」
ルナの目がまた赤くなり始めるから、俺は急いでサインする。
…だって、未だに信じられてないんだよ。
それくらい、ルナは、俺の日常の一部になってしまったから。
だから、少しでも気を抜くと、この幸せが、永遠に続くような気がしてしまうんだ。
ルナが今、ここにいて、俺を好きだと言ってくれて、その人生の一部になれた、それだけで十分幸せなはずなのに。
俺はいつから、こんなに欲張りになったかな。
…ずっと一緒に、いたいだなんて。
そう言ってしまったら、ルナを困らせるだけだなんて簡単に分かったから、それはそっと自分の心に閉まった。