オトナの事情。






『ねえ、ユキ君さ、わざとそういうこと言ってんの?…あーもう~!折角泣き止んだのに~』




「あー、ごめん!ごめんって!サインするから!!」






ルナの目がまた赤くなり始めるから、俺は急いでサインする。






…だって、未だに信じられてないんだよ。



それくらい、ルナは、俺の日常の一部になってしまったから。





だから、少しでも気を抜くと、この幸せが、永遠に続くような気がしてしまうんだ。






ルナが今、ここにいて、俺を好きだと言ってくれて、その人生の一部になれた、それだけで十分幸せなはずなのに。







俺はいつから、こんなに欲張りになったかな。




…ずっと一緒に、いたいだなんて。





そう言ってしまったら、ルナを困らせるだけだなんて簡単に分かったから、それはそっと自分の心に閉まった。



< 137 / 184 >

この作品をシェア

pagetop