オトナの事情。
それが終われば今度は、チャペルから車で10分くらい行った海で、表紙にもなるだろう撮影がスタートする。
ここでは俺1人のカットはないので、まずはルナのピンを見学。
白い砂浜と、真っ青な海。
ウェディングドレスという魔法に身を包んだルナは、どこまでも続く空にも負けない、圧倒的な存在感だ。
「…はいそのまま前見て~…そうそうそう…」
指示に的確に答えていく姿は、吹く風さえも意のままのよう。
見る者全てを虜にするような、うっとりする表情をする。
少し切なさのまじるその笑みは、俺と同じ気持ちでいてくれるからだと思って良いんだろうか。
この仕事を受けると決めた時の俺は、何も分かっていなかったと、ハワイに来てからもう何度も思わされている。
思い出だけでも、なんて。
そんなの無理だろう。
どうにもならないと分かっていても、どうにかしてルナを手に入れたいと思ってしまう。