溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~

料理が進むにつれ、優花のワインのピッチも上がってくる。
そのおかげで緊張は解れ、なんとなくテンションも上向きになった気がする。


「優花は、以前も会計事務所で働いていたって言ってたよね?」


片瀬から質問され、優花が「うん」と答える。


「どうして会計事務所を選んだの?」
「人と接するような仕事は向かないから、数字ならいいだろうって思ったのが最初なの。図書館や出版社みたいに本と接する仕事も考えたんだけど、やっぱりどこかで接客はしなくちゃならないだろうから。それなら事務所にずっとこもって数字と向き合っているのが性に合ってるかなって」


そうして勤めてみれば、予想以上に優花に合っていた。コツコツと静かに仕事に打ち込めるのは、やはりいい。


「今は、簿記検定二級の資格をとるために勉強中なの。最終的には一級をとれたらいいなって」
「まじめな優花らしいな」


片瀬がふわりと微笑む。
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