溺甘同棲~イジワル社長は過保護な愛を抑えられません~
その優しい笑みに優花の心拍が乱された。鼓動が速まるのは、きっとお酒のせいもあるのだろう。
「でも、さすがに一級は難しいかな」
簿記を勉強し始めたのは会計事務所に就職してから。学生時代からやってきた人には、どうしても引け目を感じる部分がある。
「そう思わない方がいい」
「え?」
「ダメだと思った時点で叶う確率がゼロになるよ」
片瀬の言葉にハッとさせられる。
確かにその通りだ。諦めれば、その時点でアウト。
学生時代から経営に携わり、成功を収めてきた片瀬ならではの言葉かもしれない。
「そうだよね。私、がんばる」
なんとなく力が沸いてきた気がする。
静かなる闘志を優花が漲らせていると、片瀬は愛嬌のある笑みを向けた。
「優花は高校生のときから変わらないね」