Crazy for you ~引きこもり姫と肉食シェフ~
「そ」
「ああ、そういやさ。今度デビューするバンドのカップリングに作ってくれたやつ」
「ああ、バラードでしょ? 没ったわよ。10代の男の子五人組のバンドのデビュー曲がスローバラードってないでしょ。莉子にも言ったわよ、その曲は年内に出すうちらのアルバムに入れるから、もう一個アゲアゲなの作れって」
「はあ、君も人使いが荒いよなあ。妹だからって言いたい放題だな」
言われて香子はふん、と鼻を鳴らして返事をした。
「でもいい曲だったよ、俺感動して何回もリピしちゃったもん。カップリングやアルバムじゃもったいないぜ? 他の子に歌わせてやったら?」
「あのね。KKはしっとりバラードなんか作らないの!」
「じゃあ莉子ちゃんの名前で出してやったらいいじゃない」
橘が言うと、香子はぎろりと睨みを効かせた。
「おおっと、俺は莉子ちゃんの肩を持つ気はないぜ?」
橘ははっきりとではないにしろ、この姉妹の確執を理解していた。
デビューの話が出た時、香子は素直に白状した。自分が作詞作曲をしていると言っている殆どの物は、妹の莉子が作ったものだと。それでもその楽曲の評判がいいのは知ってる、プロとしてやっていくなら莉子の力がないと無理だろうと。
だから橘は莉子に掛け合った、バンドのメンバーの一員としてのデビューを。一卵性の双子ならばツインボーカルなどどうだ、話題性があっていいのだがと口説いたが、莉子は表に出る事は嫌がる。バンドに入ってコーラスでも伴奏でもするなんてもっての外、裏方として曲作りをするのはいいが、それすら自分の名前は出さなくていいとさえ言った。 それじゃあ、とスタートはしたが。 香子は異常なスピードで売れっ子になってしまった。そうなると莫大なお金が発生する。それを全て香子の取り分にするには、橘も香子ですらもさすがに心が痛んだ。 苦肉の策で莉子にKKを名乗らせる、香子の好みの曲を作りだす香子の分身、KKだ。
「ああ、そういやさ。今度デビューするバンドのカップリングに作ってくれたやつ」
「ああ、バラードでしょ? 没ったわよ。10代の男の子五人組のバンドのデビュー曲がスローバラードってないでしょ。莉子にも言ったわよ、その曲は年内に出すうちらのアルバムに入れるから、もう一個アゲアゲなの作れって」
「はあ、君も人使いが荒いよなあ。妹だからって言いたい放題だな」
言われて香子はふん、と鼻を鳴らして返事をした。
「でもいい曲だったよ、俺感動して何回もリピしちゃったもん。カップリングやアルバムじゃもったいないぜ? 他の子に歌わせてやったら?」
「あのね。KKはしっとりバラードなんか作らないの!」
「じゃあ莉子ちゃんの名前で出してやったらいいじゃない」
橘が言うと、香子はぎろりと睨みを効かせた。
「おおっと、俺は莉子ちゃんの肩を持つ気はないぜ?」
橘ははっきりとではないにしろ、この姉妹の確執を理解していた。
デビューの話が出た時、香子は素直に白状した。自分が作詞作曲をしていると言っている殆どの物は、妹の莉子が作ったものだと。それでもその楽曲の評判がいいのは知ってる、プロとしてやっていくなら莉子の力がないと無理だろうと。
だから橘は莉子に掛け合った、バンドのメンバーの一員としてのデビューを。一卵性の双子ならばツインボーカルなどどうだ、話題性があっていいのだがと口説いたが、莉子は表に出る事は嫌がる。バンドに入ってコーラスでも伴奏でもするなんてもっての外、裏方として曲作りをするのはいいが、それすら自分の名前は出さなくていいとさえ言った。 それじゃあ、とスタートはしたが。 香子は異常なスピードで売れっ子になってしまった。そうなると莫大なお金が発生する。それを全て香子の取り分にするには、橘も香子ですらもさすがに心が痛んだ。 苦肉の策で莉子にKKを名乗らせる、香子の好みの曲を作りだす香子の分身、KKだ。