風が吹いたら
そして僕たちは、お気に入りの公園によく行っていた。

何故お気に入りかというと、その公園には、

カップルベンチという

名前どおり、カップル専用のベンチがあるからだ。

そのベンチでカップルが座って写真を撮ると

『幸せが居つく』という

ジンクスが、僕たち世代に広まっていた。

ピンク色の大きなベンチで、

背もたれがハートの形で覆われているから、

カップルが座ると本当にハートに包まれているように

見えるしくみになっていた。

だからそのベンチはとても人気があり、

写真を撮るためにカップルたちは

みんな順番を待ってでも座って写真を撮っていた。

僕と みーは、もちろん そのラブラブなベンチで

写真を撮り、そしてその可愛すぎるそのベンチに、

何歳まで座れるか賭けもしていた。

みーは当然、

「大人になっても、涼くんと結婚して子供が生まれても

歩けなくなるまで座れるもーん。」

と、意気込んでいた。

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