愛しいのは君だけ
第一章
はじまり
***
ヴェニカ王国の中心部、王都シンクレアの中央通りはたくさんの人々で賑わっている。
その中に1人、黒いローブを頭の上からスッポリと被った細身の少女が道を駆け抜けていた。
しかし周りの人々は自分の仕事で忙しいのか、少女が走っているのには見向きもしない。
その少女が駆け込んだ先は、細くて人気の全くない路地だった。
周りに人が居ないことを確認すると、ハァとため息をついて黒いローブのフードを外した。
ふわりとウェーブのかかった長い髪の毛が、建物の隙間から入ってくる光に照らされてきらりと光る。
その髪の色は銀色だった。
長いまつ毛に縁取られた瞳の色は漆黒で、化粧っ気のない顔は可愛いというより綺麗という表現があっている。
ローブの下に着ているのはどこかの貴族の屋敷にいるような使用人の衣服だ。
「……っやっと、抜け出せたぁ」
壁に寄り掛かった少女の声から出たのはソプラノの綺麗で透き通るような声。
唇はふっくらとしていて赤く色付いている。
少女からは上品な薔薇の香りが漂う。
普通の人なら誰もが見惚れてしまうほどの美少女だった。
ヴェニカ王国の中心部、王都シンクレアの中央通りはたくさんの人々で賑わっている。
その中に1人、黒いローブを頭の上からスッポリと被った細身の少女が道を駆け抜けていた。
しかし周りの人々は自分の仕事で忙しいのか、少女が走っているのには見向きもしない。
その少女が駆け込んだ先は、細くて人気の全くない路地だった。
周りに人が居ないことを確認すると、ハァとため息をついて黒いローブのフードを外した。
ふわりとウェーブのかかった長い髪の毛が、建物の隙間から入ってくる光に照らされてきらりと光る。
その髪の色は銀色だった。
長いまつ毛に縁取られた瞳の色は漆黒で、化粧っ気のない顔は可愛いというより綺麗という表現があっている。
ローブの下に着ているのはどこかの貴族の屋敷にいるような使用人の衣服だ。
「……っやっと、抜け出せたぁ」
壁に寄り掛かった少女の声から出たのはソプラノの綺麗で透き通るような声。
唇はふっくらとしていて赤く色付いている。
少女からは上品な薔薇の香りが漂う。
普通の人なら誰もが見惚れてしまうほどの美少女だった。