愛しいのは君だけ

「姫様、それどういう事だ」

「だって、私の専属騎士はあなた達2人だけ。本当はもう1人必要なんでしょ?その人が、私の旦那様になるって……。」

またクラウスさんか。

あの人は本当、とんでもない事を教える割にまともな事を教えていない。

そもそも、男を教えていないのにこんなことは教えてもシエラが理解できるわけないのに。


「……それは、まぁ昔からのしきたりだけど」

「だから、この国でトップ3に入るような剣の腕前を持つ人を探そうと思って」

……それって、まさに公爵の事じゃない。

31歳という若い年齢で、公爵家の当主でありながら剣の腕前は国内トップ3に入る。

極めつけは、容姿端麗で頭脳明晰だ。

国中の令嬢が縁談を申し込んだが、見事玉砕。

よく男と一緒にいることから、男色家なのではと噂され始めた……がそれはありえない。

そのよく一緒にいる男とはグランスの事だから。


「……グランス、」

これは、第三騎士に公爵決定かな。


「あぁ、そうだな。とりあえず帰るぞ」

グランスは私の意図が分かったのか、そう言ってシエラをお姫様抱っこすると公爵の屋敷を出た。
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