愛しいのは君だけ
第二章

離宮の姫


【シエラside】

あの日、私が王都へ行っていたことはバレないまま1週間が過ぎた。

離宮は何も無くて退屈だし、暇を持て余していた。

王宮に行けば楽しいことは沢山あるんだろうけれども、私は行くことが出来ない。

ここに閉じ込められてもう何年経ったんだろうか。

私は前女王陛下の娘でありながら、女王である母と共に王宮から追い出され離宮へと閉じ込められた。

この間王都へ行ったのが、久しぶりの外の世界だったのだ。

女王亡き今、この国の王は私の実の父親であるギルバート・カイン・メノウ・ヴェニカだ。

表立って知られてはいないけれど、現国王は前女王がいながらも他に女を作り子どもを2人身籠らせ、前女王とその娘である第一王女(私)を王宮から追い出した。

挙句の果てには、自分は国王になり女を王妃にして2人の子どもは第二王女と第三王女だ。

ヴェニカ王家の血を一滴足りとも引いていないのに勝手に王族気取りで女王陛下を失脚させた。

そして女王は新しい王妃に殺され、王妃は自殺して前女王の亡くなった理由は明らかになっていない。

こうなったのもきっと、全て私がこんな姿で生まれてきたからだ。
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