愛しいのは君だけ

シャルルはニッコリと笑って衣装部屋からコバルトブルーのシフォン生地で出来たシンプルなドレスを出してきた。

決して豪華でもないし、こだわってもいない普通のドレス。

離宮に追われた私にはピッタリね。

一応、ドレスを与えてくれるだけ嬉しいけれど。

これで人前に出たら、王女だとは思われない。

ましてや、貴族にも見えないだろうね。

だって、とても貧相で飾り付けのないドレスだから。

きっと私の腹違いの妹達は煌びやかなドレスに身を包んで、毎日楽しい生活をしているんでしょうね。

……まぁとにかく、私が18歳を迎える前までに3人目の騎士と結ばれなければならない。

そして、私はこの国の女王になるの。

腹違いの妹たちには王位継承権なんて、ないもの。

だって、ヴェニカ王家の血をひいてない。

そして、ヴェニカ王家の姓も持ってない。

現国王は女王陛下の婿になったから、ヴェニカ王家の姓を持っている。

でも、新しい王妃との間に生まれた娘2人はヴェニカ王家の姓を持つことは出来ないから。

この国は薔薇姫が治める国。

薔薇姫は正式なヴェニカ王家の血を継ぐものと、女王陛下の第1子しかなれないから。
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