愛しいのは君だけ
「ヴィンス、お願いだよ。お前にしか頼めない」
「まぁ、あわよくば第一王女専属騎士になって欲しいわね」
「専属騎士……?!2人がいるでしょう」
「あたし達だけじゃ、ダメなのよ」
「ヴィンセント、あのね。薔薇姫の専属騎士は3人必要なの」
「え、シエラが薔薇姫なのですか?」
「そうだけど、何でそんなこと聞くの」
「……社交界では、第二王女と第三王女が薔薇姫だって騒がれていますよ」
「それ、どういう事だ」
グランスも初耳らしく、眉をひそめている。
「第二王女と第三王女はヴェニカ王家の血を引いてないわよ。先代薔薇姫の娘はシエラだけよ」
そうよ、先代薔薇姫_________ステラティローザ・ゼノ・ヴェニカ・メノウの娘は私だけ。
薔薇姫は薔薇姫からしか生まれないんだから。
「ヴェニカ王家の血を引く者は私だけ!」
私はヴィンセントの目の前に立って自分の胸に手を当てた。
ヴェニカの姓を持つのも、ヴェニカの王家の血を引くのも……私だけなんだから。
「……分かりました。シエラの事、信じますよ」
「じゃあ、専属騎士になってくれる?」
「それはまた別の話ですね」