愛しいのは君だけ

「シエラは知らなくてもいい話だ」

「いや、これから学ばなきゃいけない話よ」

「……どっち」

「知らなくていい」

「知っていかなきゃダメよ!」

2人は声を揃えてお互いを睨みつける。


「こほん……。まぁ、いいわ。ヴィンスには
シエラの教育係と専属騎士にもなってもらうわ」

「……ちょっと待って。それ、決定事項?」

「えぇ、もちろん」

「さっきは引き受けてくれないか、だったのに今度は決定事項だなんて」

「それは、グランスが言ったことよ」

「うわ、俺のせいかよ」

グランスが顔を顰めてシャルルを睨みつける。

すると、今にも言い返そうとするシャルルを遮るようにヴィンセントが口を開いた。


「……教育係なら、やってもいい」

「本当?!」

「教育係だけ、か?」

グランスがヴィンセントに問いかけるが……


「あぁ、そうだよ」

ヴィンセントの口から専属騎士をやるという言葉は出なかった。
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