愛しいのは君だけ
しかも、専属騎士じゃなくて本人から直球に婚約者になってと言われるとは。
まだ、男が何かも分かってないくせにそう軽々しく人に求婚しない方がいいと思うんだけど。
何を言っても、このプリンセスには聞かないんだろうね。
……はぁ、本当何で教育係引き受けたんだか。
「ねぇ、聞いてる?」
「はいはい、聞いてますよ」
「じゃあ、婚約者になってくれる?」
「なりませんよ」
「なんで?だって、私って"ゆうりょうぶっけん"なんでしょ?」
シエラは小首を傾げながら問いかけてくる。
思わず呆気に取られた。
いやいや、誰だよ。
シエラに"優良物件"なんて言葉教えたのは。
確かにプリンセスと結婚出来るなんて、男が聞いたら飛び上がるだろうな。
だって、この国で1番偉いのは王族だから。
貴族と王族なら、王族を選ぶだろうね。
僕はそうは考えないけど。
結婚なんて、しなくてもいいかとも思ってるし。
ま、そんな事したらヴァーレンクロイツ家が途絶えるからいつかは結婚しないといけないが。
「シエラ、その言葉誰から……」
「クラウス!」
やっぱり噂のクラウスさん、か。