愛しいのは君だけ

「いいですか?クラウスさんの言うことは信じないようにして下さいね」

「……嫌だ」

「は……っ何故ですか」

危ない、つい口調が……。


「だって、クラウスは私がお母様以外に初めて唯一信用出来た人なの!」

母親以外で、初めて信頼出来た人……?


父親は何故入らない?


「……国王陛下は?」

「あの人(国王陛下)が私の父親だなんて、私は認めない!お母様の事を裏切ったヤツなんて、絶対認めない国王としても認めない!!……っ絶対に、私があの男を王座から引きずり落としてやるわ」

シエラは先程までの泣きそうな表情とは打って変わって、憎しみの込められた険しい表情になった。

瞳は鋭く王宮がある方を睨みつけている。

このお姫様、今にでも国王陛下を殺そうとしそうなくらいだ。

相当恨んでいるのだろう。

……そんなシエラの姿に思わずゾクッとした。

ただの世間知らずなお姫様かと思いきや、だな。

専属騎士(婚約者)になるのもいいかもしれないと初めて思えた。

あぁ、でもこんな年下のお姫様を恋愛対象にするには相当無理があるな。

しかも男を知らない世間知らずお姫様。
< 34 / 41 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop