愛しいのは君だけ
「いいですか?クラウスさんの言うことは信じないようにして下さいね」
「……嫌だ」
「は……っ何故ですか」
危ない、つい口調が……。
「だって、クラウスは私がお母様以外に初めて唯一信用出来た人なの!」
母親以外で、初めて信頼出来た人……?
父親は何故入らない?
「……国王陛下は?」
「あの人(国王陛下)が私の父親だなんて、私は認めない!お母様の事を裏切ったヤツなんて、絶対認めない国王としても認めない!!……っ絶対に、私があの男を王座から引きずり落としてやるわ」
シエラは先程までの泣きそうな表情とは打って変わって、憎しみの込められた険しい表情になった。
瞳は鋭く王宮がある方を睨みつけている。
このお姫様、今にでも国王陛下を殺そうとしそうなくらいだ。
相当恨んでいるのだろう。
……そんなシエラの姿に思わずゾクッとした。
ただの世間知らずなお姫様かと思いきや、だな。
専属騎士(婚約者)になるのもいいかもしれないと初めて思えた。
あぁ、でもこんな年下のお姫様を恋愛対象にするには相当無理があるな。
しかも男を知らない世間知らずお姫様。