愛しいのは君だけ
「姫様、どうしたんだ……?」
ドアのそばにあるチェストの上に紅茶のトレイを起き、こちらへ歩いてきた。
「グランス、出ていって」
「……っえ?」
「ヴィンセントも!早く部屋から出ていって!!」
「……姫様、どうしたんだ?」
いつもと違うシエラの姿にグランスが驚いている。
けれど、
「聞こえなかった?!早く出て行きなさい」
シエラの鋭い視線に、グランスはため息を吐いて心を落ち着かせ表情を無に変えた。
「……ヴィンス、行くぞ」
「えっ」
「ほら、早く」
グランスに手首を捕まれ、そのまま引っ張られてシエラの部屋を後にした。