愛しいのは君だけ
けれど必要ならキスくらい簡単に出来る。
抱くことだって出来る。
さすがに14歳も年下の、男を知らないプリンセスを抱こうなんて簡単には出来ないけど。
子孫を残すのに必要だと言うならば、……多分出来る。
男なんて、そういう生き物だし。
そもそもこの世界じゃ政略結婚が当たり前。
それこそ、年の差なんて普通にあるだろうし。
気にすることは無いんだろうけど.......。
「じゃあ、何で……」
グランスが理解出来ない、とでも言うような表情でこちらを見つめてくる。
「シエラを守りたいって思った。助けになってあげたいって思った。……シエラからは目が離せないな」
「……それは、まぁ、姫様に長い間仕えてきた専属騎士としては嬉しい答えだな」
「専属騎士にはなる」
「じゃあ、」
「婚約者には、今はまだなれない」
今はまだ、シエラを一人の女性としては見れないからね。
何も知らない無垢な子どもにしか見えないよ。
事実、世間知らずなわけだし。
「んー、まぁそうだな。14歳も下の、しかもまだ成人してない少女を女としては扱えねぇよなぁ……」