クラスメイトの告白。


「お父さん、お母さん、お待たせっ」


私は車の後部座席に乗りこむ。


車はゆっくりと走りだした。


助手席に座っていたお母さんが、私のほうを見て微笑む。


「風杏に彼氏がいたとはね~」


「か、彼氏だと!?」


驚いたように大きな声を出すお父さん。


「お父さん、ちゃんと前見て運転してっ! それに伊原くんは彼氏なんかじゃないから」


「そうなの? てっきり風杏の彼氏かと。お父さんも動揺しすぎよ。風杏も高校3年生よ? 彼氏くらいいたっていいじゃない」


そう言ってお母さんは、運転中のお父さんの横顔を見ながらニコニコしている。


「お父さんとお母さんだって、学生のときから付き合ってて結婚したんでしょ?」


「そうよ。やっぱり彼氏なのね?」


「ち、ちがうってば」


娘の片想いですよ~。


彼には大切な彼女がいるんだから。
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