クラスメイトの告白。


「さっき白石さんの病室の近くに行ったら、かごに入ったきれいなお花が置いてあったよ」


「あ、ホント? 茉雛が入院してから、ときどき病室の前に花が置いてあるんだ。誰かは、わかんないんだけど」


「そうなんだ……」


「もう行きな。車からお母さんたちの視線感じる」


本当だ。


お父さんもお母さんもジーッとこっちを見てる。


「じゃ、またね。今日は本当にありがとう」


「うん、また」


伊原くんに手を振って、私は車のほうへ歩いていく。


車に乗りこむまえにもう一度振り返ると、伊原くんが大きく手を振ってくれた。
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