クラスメイトの告白。


体育館裏に移動した私は、草むらに設置された大きな四角いテントの中に入る。


ここは、体育館でスペシャルライブを行うムーンライトの控室となる場所。


別の場所でリハーサルを行ってから、ここに来ると聞いている。


到着予定時間は、まだ先だ。


イスに座った私は、音ちゃんからもらったジュースを飲み、やきそばやドーナツを食べはじめる。


「おいしい……いろんなクラスまわって、ぜんぶ食べたい……」


そのとき、外から車の音が聞こえた。


私はドーナツを手に持ったままテントの外に出ると、ワゴン車が2台ほど、先生の先導により体育館裏に入ってきた。


「予定よりも早い到着……! やばっ! やきそばとか片づけなきゃ」


私はあわててテントの中に戻って、残っていたやきそばやドーナツを一気に口の中に放りこむ。


ついに、ついに……ムーンライトがうちの高校にやってきた。


「風杏」


テントの中に真っ先に入ってきたのは、伊原くんだった。


勢いよくイスから立ち上がった私の両頬が膨れているのを見て、彼は笑いだす。


「ハムスターみたい」


……恥ずかしい。
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