クラスメイトの告白。
陽の光が差しこむ窓の近くの床に、伊原くんと私は座った。
「そのバッグは?」
「お弁当だよ」
「あー、そうだよなぁ。普通は昼休みっていったら弁当食べる時間でもあるのに、呼びだしてごめんな」
「ううん。伊原くんは、いつもお昼どうしてるの?」
「俺、だいたい1日1食だから。夜に食べて、昼は腹へったときだけ購買でパンとか」
昨日、伊原くんのアパートに行ったときに思った。
生活感のない部屋だった。
ひとり暮らしで、料理をしていそうな雰囲気もないピカピカのキッチンだった。
夜もコンビニのお弁当とかで済ませているのかな。
「ちゃんと食べなきゃ元気出ないよ?」
「夜はちゃんと食べてるから」
「あの……これ、よかったら食べて?」
私はバッグから、ふたつのお弁当箱を取りだして、床に並べた。
「え……? まさか俺の分も作ってくれたの?」
「迷惑だった……?」
伊原くんは首を横にふる。
「私、料理はわりと好きなほうなんだ。お弁当作ってきたのは、相棒として、ちょっとでも元気出してほしいなと思って……」
「汐野……」
「でも、お弁当を作ったのはいいけど、学校ではいままで通りにしてほしいって言われたから気軽に話しかけられないし、どうやって渡そうか悩んでたから、伊原くんが呼び出してくれてよかった」
「俺が頼んで手伝ってもらってるのに、こんな弁当まで作ってもらって申し訳ないっていうか」
「そんなの全然気にしないで」
「ホント、いいやつだな」
「いやいや」
「弁当箱、開けてもいい?」
「うん。口に合うといいんだけど」
「わっ! すっげ~うまそう!」
そんなに喜んでくれるなんて思ってなかった。
見た目はいつもの見慣れた変装後の伊原くんなのに、こうして話していると本当の伊原くんに見えてくる。
不思議……。
昨日初めて知った、本当の伊原くんの姿。
私だけが知っている秘密。