クラスメイトの告白。
「汐野は将来いい奥さんになるな」
「そ、そう?」
彼氏いないけど。
そのまえに初恋もまだだけど。
でも、いつか私も誰かと結婚するのかな。
どこにいるんだろう……私の運命のひと。
「優しくて、おもしろくて、料理もうまいって最高の奥さんじゃん」
「褒めるね~」
「弁当作ってもらったから」
「あ、そういうことね」
「うそうそ、本気で思ってる。いただきます」
「ふふっ、どうぞ」
彼は卵焼きをひとくち食べた。
「うんまっ」
「褒めるよね~」
「マジだって!」
「本当? よかったぁ」
私はウィンナーにフォークをさして手に持ったまま、伊原くんが食べる様子を見つめていた。
これが白石さんの手作り弁当だったら、いまの100倍うれしいはず。
事故なんてなかったら、ふたりは幸せに過ごしていたのに。
伊原くんの気持ち、白石さんの気持ち。
ふたりの立場になって考えたら、胸がぎゅっと苦しくなった。
「もーらいっ」
私が持っていたフォークの先にあったウィンナーを、伊原くんがパクッと食べた。
驚いた私は、一瞬動けなくなる。