クラスメイトの告白。


「ああ、いまもそうだよ」


緑河くんは3年生になっても図書委員を続けていた。


やっぱりイメージとは合わないけど、2年も続けて図書委員をやる理由が彼にはあるんだろう。


「それでね、半年前の……」


話を切り出したとき、階段の下から女子の声がした。


「蓬せんぱーいっ」


この声、聞き覚えがある。


「そこで何してるんですかぁ?」


そう言って階段を上がってきた女の子は、金色のサラサラした長い髪から甘い香りを漂わせていた。


メイクもしていて、可愛らしい雰囲気の女の子。


彼女のうわばきの色を見ると、1年生だとわかった。


まちがいない。


昨日の昼休み、緑河くんと図書室でキスしていた女の子だ。


私は伊原くんとカーテンの中に隠れていたから、女の子の姿は見ていない。


でも、この可愛らしい高い声が特徴的で、ハッキリと覚えてる。


彼女はいないと緑河くんが言っていたけど、昨日図書室にいた女の子がこの子だと思うと、なんだかこの状況は気まずい。


肩の上に置かれた彼の手をどけて、私はあわてて彼から離れた。
< 77 / 372 >

この作品をシェア

pagetop