クラスメイトの告白。
「ああ、いまもそうだよ」
緑河くんは3年生になっても図書委員を続けていた。
やっぱりイメージとは合わないけど、2年も続けて図書委員をやる理由が彼にはあるんだろう。
「それでね、半年前の……」
話を切り出したとき、階段の下から女子の声がした。
「蓬せんぱーいっ」
この声、聞き覚えがある。
「そこで何してるんですかぁ?」
そう言って階段を上がってきた女の子は、金色のサラサラした長い髪から甘い香りを漂わせていた。
メイクもしていて、可愛らしい雰囲気の女の子。
彼女のうわばきの色を見ると、1年生だとわかった。
まちがいない。
昨日の昼休み、緑河くんと図書室でキスしていた女の子だ。
私は伊原くんとカーテンの中に隠れていたから、女の子の姿は見ていない。
でも、この可愛らしい高い声が特徴的で、ハッキリと覚えてる。
彼女はいないと緑河くんが言っていたけど、昨日図書室にいた女の子がこの子だと思うと、なんだかこの状況は気まずい。
肩の上に置かれた彼の手をどけて、私はあわてて彼から離れた。