嫌われ者の小鳥遊さんは、好かれることに慣れてない
ーー筈だったのだが、今日はいつもと違っていた。



いつもの様に昼食をかき込み第二図書へと足を運ぶ。ドアを開けると、そこに誰かが座っているのが確認できた。





…昼休みに、此処に誰かが居るのは教室以外では初めてだった。紺色のブレザーを纏った男子生徒、チラッと足元を見るとシューズの先が青い。確か、先の青いシューズは二年生だった様な気がする。




その人物もこちらに気付いた様子で、一瞬視線だけを向けたが興味無さげにすぐに机の上の本に戻した。



正直上級生男子の居る空間には入りづらかったが、かといって教室にも私の居場所はない。

向こうも此方にさして興味もなさそうなので、私はそのまま第二図書室に入ることを選択した。





ーー目当ての本を取り、入り口付近の席に腰を下ろす。選んだのは、最近気に入って読んでいる古典についての記録資料を纏めた古書だ。



初めは私と対角線上に座っている男子生徒の存在が気になったが、本に集中するにつれてそれも気にならなくなっていく。

向こうにも、此方を気にする様子は見られなかった。




ーー暫くして、次の事業開始を予告するチャイムが響き渡る。

私は静かに本を閉じ、元の場所に戻そうと立ち上がった。と同時に視界に映るのは、私とは対角線上の一番遠い場所に座っていた筈の上級生の男子生徒。




いつの間にか私のすぐ傍まで来ていた彼に気が付かなかった私は、思わず小さく声を上げた。
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