お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「つーばさっ♪」
帰りのショートホームルームが終わり、教室を出ようとしたところで同じクラスの女子、桜井結衣につかまった。
「今日こそカラオケ行こっ♪」
「行かねぇ」
「ちょっとぉ、もしかしてまーた幼なじみの相手ぇ〜?」
構わず廊下を進む俺にしつこく絡んでくる結衣。
「そうだよ!今日は駅前に最近出来たクッキー買いに行くんだよ、つーわけで俺は忙しいからまたな」
「ちぇ〜」
頰を膨らまして拗ねる結衣。
結衣とは中学からの付き合いで、中3のときには同じクラスで、同じクラス委員もやったりしたこともあるのでまぁまぁ仲は良い。
だけど、そういう男女の関係になったことは断じてなく。
「つーか…お前も彼氏と喧嘩したときだけ俺に構ってくんのやめろよな」
「別にいいでしょ〜?わたし男友達って翼しかいないんだもん」
そう、結衣にはいつも途切れることなく彼氏がいる。
そして彼氏と喧嘩したり別れたりしたときだけ、俺を遊びに誘ってくるのだ。
「翼って貴重だよねぇ♪こーんな男を感じない男子って翼くらいだし♪」
「うるせぇ!」
「えー何で怒んの?褒めてんのに〜」
そんなくだらない言い合いをしているうちに昇降口に着いた。