お兄ちゃん系男子は我慢の限界。
「てゆーかさぁ、翼はいつまで幼なじみちゃんのこと追いかけてんのぉ?いい加減諦めれば〜?」
「だからうるせぇ!」
靴を履き替え外に出た瞬間、俺の目に飛び込んできたのは校門の前で仲良く話す夏海と…“同じクラスの鈴木”くんの姿。
っあいつ!まだ夏海に付き纏ってんのかよ!
「あっちょっ…翼ぁ!?」
俺は結衣を無視して、夏海のそばに駆け寄った。
「夏海!」
「あっ、おに…」
振り向いた夏海の顔が、固まる。
「ちょっとぉ、急に走り出さないでよね〜!」
俺に追いついてきた結衣が、グイッと俺の腕をつかんだ。
「うるっせぇな、つーかいつまでいんだよお前、早く帰れよ」
「はぁ?何その言い方!こないだ英語の課題教えて〜って泣きついてきたくせに!」
「っるっせーなお前!ほんと早く帰れ!!」
夏海の前でそれを暴露するな!
俺は夏海にいつ勉強教えて♡と頼られてもいいように夏海の前では頭いいキャラで通してんだよ!!
俺は結衣につかまれていた腕を振り払うと、夏海に向き直った。
「なっ夏海!?俺英語も得意なんだけどその時の課題は特別難しくてさ…!ほら、こいつこれでも帰国子女だから…!」
「ふーーん」
…あれ?夏海の声が冷たい。
しかも心なしか顔も強張っているような。
…え?