スイート ジャッジメント【番外編、別視点公開しました】

「そろそろどっか行こうか。いい加減混んできた」

 湊はテーブルの上のカップを重ねて立ち上がると、ゴミ箱へ捨てに行った。

 確かに入店した頃には他のお客さんは数人しかいなかったけれど、今はレジの前に行列が出来つつあった。

 レジに並んでいた二人組みの女の子が湊に、嬉しそうな顔で声をかけるのが見えた。クラスの子……かな? 学校で見たことがある子達だった。 湊は視線を向けて軽く挨拶しただけで、会話を続けるつもりは無いようだった。

「とわ」

 席に戻ってきた湊が私を呼んで「おいで」と手を差し出してくれたけれど、湊に声をかけた女の子達の視線が気になって、その手を取る事が出来ない。だって、こっちを見てる。

「大丈夫だよ。行こう」

 私の手首を掴んで椅子から引き起こして、足がすくんだ私の腰に手を回して、湊は涼しい顔で歩き出す。それは、手を繋いでるより、よっぽど密着度が高い。

「大丈夫。ちゃんと守るから…… って困ったね。俺言っても説得力全然ないね」

 苦笑いした湊は、腰に回していた手を離して私の手を取ると、指を絡めて繋いできた。

「動物園と水族館ならどっち行きたい? ペンギン見に行こ?」

「見に行くのはいいけど、……似てないからね?」

「似てるよ。どっちも可愛いよ」

 湊と私は、いつかと似たようなやり取りをして、笑みを交わした。

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