クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
その日の夜。

夕食の配膳が終わり、調理場の使用人たちも自分の仕事が片付くと次々に寄宿舎へ帰っていった。仕事中だというのにどうしても今夜のことを考えてしまい、顔に出ていたのか「今夜のアンナはご機嫌だな。なんだ、もういい男を捕まえたか?」などとウィルに茶化されてしまった。

(からかうのが好きなところはほんとボブロおじさんにそっくりね)

アンナが誰もいない調理場で夕食のパンにかじりついていると、調理場の出入口に真っ白なもふもふの尻尾を揺らした何かが目に入った。

(あれは……リデル?)

アンナがパンを食べている様子をじーっと見ていたようで、「おいで」と言うと小さくワフッ!と嬉しそうに歩みよってきた。

「いい子ね」

撫でると毛並みがよく、きちんと手入れをされているのがわかる。
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