クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
ジークはそんなアンナの様子を姿が見えなくなるまでしばらく眺め、はぁと小さくため息をついた。
彼女の髪には紫水晶のついた髪飾りが輝いていた。その輝きと同じ目をしたアンナにジークは久々に純粋無垢な人間を見た気がした。アンナが薬学を学びたいという話は知っていた。しかし、国王であっても一度決められた規則を覆すのは人々の混乱を招く恐れがある。特に勢力のあるランドルシア王国の一部貴族は、時に王族を差し置いて出しゃばるような厄介な連中だ。
しかし政を執っているのはあくまでも国王であり、ジークは常に毅然とし、そんな貴族たちを前にしても歯牙にもかけない堂々たる存在だったが、そんな国王を面白くないと思っている者もいる。それゆえに、国王は常に暗殺という名の謀反と背中合わせなのだ。
(アンナ……ローランド、か)
暇つぶしと言ったものの、ジークはアンナの学びたい気持ちを汲んでやりたかった。まだまだ薬師と呼べるにはほど遠いが、ジークはアンナを目に掛ける義務のようなものを感じていた。
(……それが私にできる、彼女への唯一の罪滅ぼしなのだからな)
声に出すことなくジークが独り言ちると、さっと風が吹いて金の髪をなびかせた――。
彼女の髪には紫水晶のついた髪飾りが輝いていた。その輝きと同じ目をしたアンナにジークは久々に純粋無垢な人間を見た気がした。アンナが薬学を学びたいという話は知っていた。しかし、国王であっても一度決められた規則を覆すのは人々の混乱を招く恐れがある。特に勢力のあるランドルシア王国の一部貴族は、時に王族を差し置いて出しゃばるような厄介な連中だ。
しかし政を執っているのはあくまでも国王であり、ジークは常に毅然とし、そんな貴族たちを前にしても歯牙にもかけない堂々たる存在だったが、そんな国王を面白くないと思っている者もいる。それゆえに、国王は常に暗殺という名の謀反と背中合わせなのだ。
(アンナ……ローランド、か)
暇つぶしと言ったものの、ジークはアンナの学びたい気持ちを汲んでやりたかった。まだまだ薬師と呼べるにはほど遠いが、ジークはアンナを目に掛ける義務のようなものを感じていた。
(……それが私にできる、彼女への唯一の罪滅ぼしなのだからな)
声に出すことなくジークが独り言ちると、さっと風が吹いて金の髪をなびかせた――。