クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす

「ただいま。ミネア、アンナ、今夜もお客さんはたくさん来てくれたかい？」

外から馬車の車輪の音が聞こえ、しばらくするとボブロがいつものように帰ってきた。今日は王都で野菜や肉などの買い出しをしてきたらしく、木箱に入った食材を両手いっぱいに抱えていた。

「ボブロおじさん、おかえりなさい。荷物大変でしょ、手伝うわ」

「あぁ、悪いな。まだ荷台に少し残っているから持ってきてくれ。これくらいは平気さ」

優しさが滲み出るようなボブロの笑顔を見ると、無事に帰ってきたことに安堵する。

ボブロは一六〇センチのアンナよりも頭ひとつ分くらい背が低いがぽっこりとしたお腹のせいで恰幅が良く見える。「毎日大きな鍋や調理器具を扱っているんだから、ひ弱なことじゃ料理人は務まらん」と口癖のように言っているだけに意外と力持ちだ。

小屋の外に出ると、春先のような夜風がアンナの頬を撫でた。

この地域は年間を通して温暖で、今は冬に向けて季節が変わりつつあるが寒くもなく比較的過ごしやすい。ランドルシア王国は植物がよく育ち、緑豊かな国としても知られている。

「ボブロおじさん。今日、あの人が来たのよ」

荷物を小屋に運び込みながらアンナが嬉しそうに言うと、ボブロは太い腕で額にかいた汗を拭った。