クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
紋章のことが気になって、貴重な勉強時間もまったく集中できなかった。
夕食のときも、「なんだか落ち着かないわね」とミネアに言われてしまった。どうしてもこの髪飾りのことを聞きたくてうずうずしていると、今夜は少し早めにボブロが帰ってきた。

「ボブロおじさん。おかえりなさい」

「ふぅ、ただいま。ミネア、アンナ、今日はゆっくりできたかい?」

おかえりのキスをすると、ボブロがかわらぬ笑顔でにこりとした。ボブロはこれからビールを飲んでひと息つくはずだ。酔っぱらってしまっては髪飾りのこともうまく聞き出せないかもしれない。だから頃合いを見計らって……なんて悠長なことを考えているわけにもいかなかった。
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