クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「ボブロおじさん、この髪飾りのことで聞きたいことがあるの」

「おう、なんだいきなり」

帽子を取ってぱたぱたと仰ぎながらボブロは椅子に座った。アンナも続いて向かいに座る。

「これ、見て。小さいけれど、これ紋章みたいなの」

おそらくボブロはこの小さな紋章が目視できないと思い、アンナはまだ返していなかったルーペで指し示す。

「これ、風来の貴公子の指輪にも同じ紋章が彫ってあったのよ。見間違いなんかじゃないわ」

どうせ見間違いだと言われるのがわかっていたから先にそう言っておく。すると、ボブロはじーっとルーペを通してその紋章を難し気な表情でしげしげと見つめた。しかし。

「よくわからねぇが、店の商標みたいなもんだろ」

「え? 商標?」

そういわれたらそうかもしれない。王都で売られている質のいい店の商品には、たいてい提供者がわかるように商標が記されている場合が多い。
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