クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
「やはりな……お前、血を見るのが恐ろしいのだろう?」
「え……?」
図星を指されてアンナは俯いていた顔をあげる。
おそらく、ひとりであのまま寄宿舎へ戻ったら、きっと寝ることもできず蘇る恐怖に震えて発狂していたかもしれない。ジークはアンナの精神状態を見越して寄宿舎へ帰すつもりはない、と言ったのだ。ひとりにさせまいとするジークの気遣いが身に染みる。
「私が傍にいるだろう。もう大丈夫だ」
そう言って、ジークはその身体を包み込んで抱きしめる腕に力を込めた。
優しい言葉は時に胸を突き刺す。彼の言葉に甘えてはいけない。アンナは己の不甲斐なさを改めて実感し、気持ちが沈んでいった。しかし、もうこれ以上己の中に巣くうトラウマを自身で抱え通すことは耐えがたかった。すべてを話すことで、少しでも楽になれるなら……とアンナは救いを求めるように重い口を開いた。
「父が殺された時、私が第一発見者だったんです……胸に剣が刺さっていて、血まみれの父を……見たんです」
「なんだって?」
それを聞いたジークは耳を疑うかのように驚いて、表情を硬くした。当時のアンナはまだ年端も行かない少女だったことを知っていたジークは、なんということだ……と眉を顰めた。
「いつまでも過去に捕らわれて、こんなことじゃいけないって……わかってるんですけど、時々思い出しては悩まされるんです。きっと、私がまだまだ弱いから――ッ!?」
震えだしそうになる声でアンナが言うと、言葉を言いきらないうちにジークの胸に勢いよく引き込まれた。
「え……?」
図星を指されてアンナは俯いていた顔をあげる。
おそらく、ひとりであのまま寄宿舎へ戻ったら、きっと寝ることもできず蘇る恐怖に震えて発狂していたかもしれない。ジークはアンナの精神状態を見越して寄宿舎へ帰すつもりはない、と言ったのだ。ひとりにさせまいとするジークの気遣いが身に染みる。
「私が傍にいるだろう。もう大丈夫だ」
そう言って、ジークはその身体を包み込んで抱きしめる腕に力を込めた。
優しい言葉は時に胸を突き刺す。彼の言葉に甘えてはいけない。アンナは己の不甲斐なさを改めて実感し、気持ちが沈んでいった。しかし、もうこれ以上己の中に巣くうトラウマを自身で抱え通すことは耐えがたかった。すべてを話すことで、少しでも楽になれるなら……とアンナは救いを求めるように重い口を開いた。
「父が殺された時、私が第一発見者だったんです……胸に剣が刺さっていて、血まみれの父を……見たんです」
「なんだって?」
それを聞いたジークは耳を疑うかのように驚いて、表情を硬くした。当時のアンナはまだ年端も行かない少女だったことを知っていたジークは、なんということだ……と眉を顰めた。
「いつまでも過去に捕らわれて、こんなことじゃいけないって……わかってるんですけど、時々思い出しては悩まされるんです。きっと、私がまだまだ弱いから――ッ!?」
震えだしそうになる声でアンナが言うと、言葉を言いきらないうちにジークの胸に勢いよく引き込まれた。