クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
ベアトリクスが脱獄してからというもの、アンナの生活はがらりと変わった。

――ベアトリクスの脱獄のことは混乱を招かないよう、ほかの侍従たちには他言無用にすること。

――絶対にひとりで行動せず、外を出歩くときには必ず警護をつけること。

これらはすべてジークに言いつけられた約束事だった。ジークはウィルとマーヤだけには事情を説明し、仕事中アンナを見守るように言いつけた。それからもうひとつ。

――今度から私の部屋で共に生活をすること。

ジークの部屋は複数の部屋から構成されていて、ドアで繋がっている続き部屋が今のアンナの生活の場所となっている。上質なベッドとクローゼットなどが揃い、部屋自体は独立しているが、廊下に出るにはテーブルや本棚などが置かれている居間を通らなければいけない。

(住むには申し分ないくらいなんだけど……)

ジークの寝室は居間を挟んで向かい側にある。いきなりジークのプライベートな領域に入り込んだみたいで、その距離感にアンナは戸惑うばかりだった。
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