クールで一途な国王様は、純真無垢な侍女を秘蜜に愛でたおす
(わぁ、すごい!)

葉の影から中の様子を覗き見ると、後ろめたい気持ちもさることながらアンナは感嘆のため息をこぼした。学士たちが長机に所狭しと並び、懸命にペンを走らせている。正面には白く長い髭をした熟練講師と思われる老人がなにやら薬草について講義している真っ最中だった。学士たちの集中している気迫がひしひしと伝わり、アンナはごくりと喉を鳴らした。アンナは目がいい。黒板に書かれた説明を夢中で隅々まで見入る。

(全然聞いたことのない薬草だわ……まだまだ私の知らないことがたくさん)

紙とペンがここにあれば、すぐにでも書き留めておきたいくらいだ。すると。

(あれは……リマキュラの花!?)
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