サイドキック






「昴さんと稜さんの結婚が正式に決まったんだ」

「………、」

「あ?どうしたんだよ」



怪訝そうに眉根を寄せる私を目にしたヒロヤがそう問い掛ける。

一度だけ躊躇ってから、私は。







「―――なんでそういう情報が先にお前のほうにいくんだよ」

「ソコか。お前がジェラシー感じたのはソコなのか」

「はあ……」


遣り切れない、と言わんばかりに溜め息がこぼれ落ちる。














「だって、総長は俺だったろ」




肩から零れる髪を背中に流しながらそう述べれば、目の前に居る男の視線を感じて顔を上げた。












「……、…」

「………」

「………なに見てんだよ」

「ユウキ」




なんでそんな、穏やかに瞳を細めて見てくるんだよ。

そんな風に見られたら落ち着かない。




思わず逃れるように視線を逸らす私を、奴は追うように言葉を口にした。











「もう肩肘張ってた昔とは違う。それにお前は女だろ、無理に"俺"なんて遣わなくて良いんだよ」











< 24 / 362 >

この作品をシェア

pagetop